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ポップソング!

 ポップなことはよいことだ。

 「知」をどこまで信じるかという問題があって,「知」とは過去のことであり,「知」を体現するということは過去を体現することである。「知」とは「地」のことであって,また,「知」とは「血」のことでもあるのは,「地縁」は「血縁」に近似されるから。天からすでに打ち下ろされたわれわれ「肉」どもの,地をはいながらめぐる世代間の血のめぐりのなかで,蓄えられ循環し張り巡らされたものがいま見知っている知のめぐりであり,天界についての知はわれわれにありえない。

 ポップとは天界への「浮上」である。

 短歌や文芸が「知」をめぐる重厚なものであるのは過去の尊重であり過去の魂への誠実である。知っていることはより多くわれわれのめぐりへの感謝をなすことである。血縁への礼儀,地縁への礼儀が知の信仰の理由でもある。

 しかしだとして,ポップなものを書きたい気持ちがわたしにはある。地ではなく,未知の軽さへと浮上すること。

 われわれの感性は知を持たずとも「心地よい」ものを嗅ぎ分けることができる。その心地よさがポップさであり「快」なのだ。短歌をやっている人にだけわかる良さ,日本人にだけわかる良さ,人間にだけわかる良さ,はどこまで行っても知をめぐる良さなのかもしれない。そうではなく知になるてまえの,魂だけが知っているはずの良さを,そこぬけのポップを,つまりは天界における蜜を,書くことはできるのだろうかとおもう。知のめぐりに関係のない良さを。天の悦楽の記憶を。楽園の流滴を。

 ポップに,軽く,飛ぶ!