# 一首評003「遠眼鏡さかさにのぞくとつくにの象の挿頭も見し夕月夜」(山尾悠子)

遠眼鏡さかさにのぞくとつくにの象の挿頭(かざし)も見し夕月夜 山尾悠子『角砂糖の日』(LIBRAIRIE6、2016)p.67*1 *1:引用は新装版より。初版は(深夜叢書社、1982)

# 一首評002「知らない場所に痣がいくつもできてゐる夢より覚めて目覚めてもなほ」(睦月都)

知らない場所に痣がいくつもできてゐる夢より覚めて目覚めてもなほ 睦月都『Dance with the invisibles』(KADOKAWA、2023)p.79

# 一首評001「夏のよるの長い家路のなかにあるほそい銅線みたいな覚悟」(川村有史)

夏のよるの長い家路のなかにあるほそい銅線みたいな覚悟 川村有史『ブンバップ』(書肆侃侃房、2024)p.73

# 歌033

「ねえ、パパ、みんな生きていないといけないのかしら。そうでないと、あんなにメチャメチャにはならないわよね。」(「精神の生態学へ」(上))*1 生きていないと生きていけないわたしたちはひかりの夜の部屋の断片 *1:グレゴリー・ベイトソン著、佐藤良明…

# 歌032

しばらくずっと静養しています。 たぶん大丈夫です。 傘のなか雨もささずにやってくる顔のない灰色の狼

# 歌031

なにもできなくなったので家で短歌をつくったりしています。 これがいつまでつづくでしょうか。 たたかれた黒鍵はもうもどらずに音楽はこわれつづけていった

# 歌030

退職について本気を出して考えている。 ひとりひとりに死という選択肢がそびえ おかしうりばでよこたわるひと

# 歌029

腰がおしまいになった。レントゲンでは異常なしとのこと。すごくなでがたで背骨がふつうより一個多くみえるといわれました。 米澤穂信先生の小市民シリーズを春から秋まで読みました。小説をひさしぶりによんだのですがおもしろかったです。 「カラオケ行こ…

# 歌028

今年の目標は健康に過ごすこと。 すでにからだがおもい。 青い鈍器 ふりおろすときおもたくてそのおもたさにふりおろされる

短歌50首1日でつくるメモ

「起きられない朝のための短歌入門」で即詠の話があった。100首会という営みがあることをつねづね知っていて、参加したことはなく、短歌をたくさんつくる練習をしようとおもいました。

# 歌027

年の瀬であり、やらなければならない仕事はたまっているのだけれども、のんびりとしている。 ひさしぶりに本を読む時間ができたので、ひたすらつんである本のうち「起きられない朝のための短歌入門」をひもといてみて、なにかを書きたい、という気持ちになっ…

# 歌026

やる気が出ない。 ゲオでDVDを借りて「崖の上のポニョ」をみました。お家のなかに入ろうとするたこがかわいかったです。 2023年がもうすぐおわります。 あけましておめでとうございます。いい忘れないように書いておきました。 なみだはいちばんちいさな海、…

# 歌025

前回の日記の更新が8月であることにおどろく。8月? 東京で文学フリマがあったという。昨日の18:00くらいにすずちうさんから急に短歌がおくられてきたので取り急ぎ短歌をおくりかえしたらネットプリントになりました。詳しくは「稀風社ブログ」などを参照し…

# 歌024

「精神の生態学へ」(上中下)や「ローマ書講解」(上下)を買ったりした。それぞれおそらく死ぬまで通読することはないとおもいつつ、家にあるということが、たいせつなおまもりのように機能する、ということが、うれしくも、すこしこわいとおもう。 肩や腰…

#歌023

お久しぶりです。 いままで家ではRealforceのちょっとふるいキーボードをつかっていたのですがさいきんHHKBを購入した。キーの配置をソフトウェア上で変更できたり、Bluetoothで複数の端末とつなげたり、Realforceのキーキャップがそのまま移植できたりと、…

# 歌022

3月からうごいていたネットプリントを6月になってようやく発行できた。すずちうさんおまたせしてしまってすみませんでした。つづきもやりたいとおもっています。がんばります。 批評のような文章の依頼があり、ひさしぶりに2000字ほど書いてあたまがすっきり…

# 歌021

年度末で、いろいろたてこんでいてかなりしんどいのですが、山口コンボイさんのナートゥダンスをみてげんきをもらいました。 もらったはずの元気はうまくそだたずに(neglect)もうやりなおせない

# 歌020

いちにちじゅう座っているとからだがばきばきになってくる。 研究のほうでいろいろとはなしたり原稿をかいたりする機会がふえてきて、歌とあわせて、どちらもどっちかつかずのまま、大学院生のころからいまままでやってきてしまった、というおもいもある。も…

# 歌019

テレビ番組の「ひとりで60分 ロングコートダディ堂前編」がおもしろかったです。 うつくしく乱れたせかい(せいねんはそのシンバルをさがしつづける)

# 歌018

Twitterをみていたら自分の歌がとりあげられていた。 ナナフシは鳥に食べられ遠くまで卵を運んでもらうだろうか?/三上春海『撤退戦』 - 音声一首評 - Radiotalk(ラジオトーク) おもしろかったのは「ふたりぐみ」あるいは「コンビ」という概念にたいすると…

# 歌017

さまざまなわからないことがあり、たとえばさいきんは、「湯舟」のどこが「舟」なのかわからないとおもう。 浴槽は海に繋がっていません だけどいちばん夜明けに近い(馬場めぐみ) 辞書でしらべると「槽」は「ふね」ともよむようで、「舟」「槽」ともに、水…

# 歌016

『好きな子がめがねを忘れた』の最新10巻をよんだのでここに記録しておこうとおもいました。 巻をかさねるごとにどんどん〈シーン〉のえがかれかたがうつくしくて、まんがとしてパワーがたかまるのはおそらく2021年刊行の7巻くらいからとおもうのですが、…

# 歌015

ふゆのあいだはTVアニメーションの「ぼっち・ざ・ろっく!」や「PUI PUI モルカー DRIVING SCHOOL」をみたり、いくつかの「no寄席」や「AUN」をみたりしていました。さまざまなものがたりや舞台をみると、すべてじぶんのしらないことで構成されていて、…

# 歌014

胃の調子がわるくとしあけからずっとねむっている。 2022年はクリニックでくすりをもらってじゃっかん調子が上向いていたのだが、今年はまたわるい年になることがわかってきて、予感によってすでに体調があっかしていて、すくいようがない。 本をよんだり文…

# 抜書001

〈居場所〉についてかんがえようということで、『居るのはつらいよ ケアとセラピーについての覚書』という本を読んだ。 「ケアとセラピー」をキーワードにいろいろなことについてかいてる本で、勉強になりつつ、先によんだことを(バイヤール的に)わすれな…

# 所記002

「居場所」についてかんがえている。「ここは居心地がわるい」とかんじることについて。たとえば多数派にかこまれている少数派のような。 「ここはわたしの居場所だ」と、喧伝するような文体がある。ちからづよい。それぞれの時代、それぞれの集団(結社)、…

# 歌013

戦争状態は道徳を宙吊りにする。戦争状態は、いつの世も変わらず永遠だとされた制度や義務から永遠性を剝ぎとり、それによって無条件的な命法をすべて一時的に無効にする。戦争状態は、人間の行為にあらかじめ影を落とす。戦争は単に道徳が生きる糧(かて)…

# 歌012

時間がながれてゆく。 目にうつる塔ひとつづつうつくしくきらいになってゆく村の道

# 歌011

さいきんは彫刻にきょうみがあり、彫刻の本をよんだりしている。 ほんとうは本ではなくてじっさいの彫刻をみにゆきたいのだけれども、冬の彫刻はゆきにうもれ、わたしたちにはなにもみえない。 もうすこししたら春になるが、春の彫刻もまだつめたく、ひとの…

# 歌010

まちをあるく こころかるく だれかにあえる このみちで かわいい きみに こえを かけて こんにちは ぼくと しにましょう わたしたちしんでいるのにいきているみたい/なにかを嘔きだす浅蜊