一首評

# 一首評005「人間は背伸びをしてもちょっとしか上がらないのがかわいいところ」(今井心)

人間は背伸びをしてもちょっとしか上がらないのがかわいいところ 今井心『目を閉じて砂浜に頭から刺さりたい』(私家版、2018)p.47*1 *1:「夢プリン、丼で。」

# 一首評004「秋の夜はねむるものにも冴えているものにも掛かる手品師の布」(山階基)

秋の夜はねむるものにも冴えているものにも掛かる手品師の布 山階基『風にあたる拾遺 2010-2019』(私家版、2019)p.44*1 *1:引用は2019/11/24発行の初版より。章題「2015-2016」

# 一首評003「遠眼鏡さかさにのぞくとつくにの象の挿頭も見し夕月夜」(山尾悠子)

遠眼鏡さかさにのぞくとつくにの象の挿頭(かざし)も見し夕月夜 山尾悠子『角砂糖の日』(LIBRAIRIE6、2016)p.67*1 *1:引用は新装版より。初版は(深夜叢書社、1982)

# 一首評002「知らない場所に痣がいくつもできてゐる夢より覚めて目覚めてもなほ」(睦月都)

知らない場所に痣がいくつもできてゐる夢より覚めて目覚めてもなほ 睦月都『Dance with the invisibles』(KADOKAWA、2023)p.79

# 一首評001「夏のよるの長い家路のなかにあるほそい銅線みたいな覚悟」(川村有史)

夏のよるの長い家路のなかにあるほそい銅線みたいな覚悟 川村有史『ブンバップ』(書肆侃侃房、2024)p.73